ガラスの目をした猫とトコトコ

とりとめのない話をします

ドライフラワーの朽ちた日


駅から徒歩数分の アパートの隅に
夕方のチャイムが 響き渡る
晩御飯のカレーの匂いが立ち込める 午後六時
薄暗い部屋で うずくまっていた


空っぽの手のひらを何度も握りしめて 君の感触が無いことを確かめる
君の声や温もりはすっかり遠くに行って もう思い出せないよ


窓際で風に揺れる オレンジのドライフラワー
元の色なんかわからないくらいに 色褪せてしまった
朽ちることのない花だと 思ってしまったばかりに
その姿を 真っ直ぐ 受け入れること が出来ずにいるよ


君の形を徐々に忘れていくまま
生きていくことに耐えられるかな
考えたって 時間は過ぎるけど
それでも 僕は 忘れたくないよ


窓際の風に揺れる オレンジのドライフラワー
花びらはこぼれ落ちて 見るも無惨な姿だけど
枯れることのない花など あるはずないさと僕は
気づけたから 一輪の花を抱き締めるよ
乾ききって朽ちた花だとしても


君はもう僕の知らない場所で
僕の声はもう届かないけど
君との思い出が僕を苦しめても
僕は全て抱き締めるよ