ガラスの目をした猫とトコトコ

とりとめのない話をします

ロングラン


星の降る夜に 君は僕を連れ出して
誰もいない公園で空を見上げ話してた

「明日から僕はいないから 君が受けとる番ナノサ」
バトン取り出し君はいつもみたいにイチニツイテ ヨウイ


走り出す君の横顔が 見たくてついて来たけれど
思えば離されてばかりで 君に何か返せたかな


君から顔を伏せたまま 僕は一歩も動けずに
「君の代わりにはなれないよ。」 ジャングルジムで足ぶらり

我ながら最低の言葉 君とお別れだってのに
そんな言葉だって振り切って 君は構えていた


その手に貰うのは下手くそで いつも誰かに託してた
受け取ったって何にもできやしないと
気づくのが怖かった



走り出した君の瞳は キラキラ光っていて
こぼれた雫は 流れ星みたいに溶けて消えていった

ようやく気づいた僕は 君にこの手を差し出した
君が託した気持ちを 無くさないように バトンを握り返した


新しい朝 迎えるレース 君だけがもういない
アンカーの僕 目を背けてた 受け取るバトンは重すぎた


ああ そうか 君はこんな重さで いつも走ってたのか
君はいないけど 僕は 今いるから
「まだ 走れるかな?」



落としたバトンは 確かにまだ温もりを残していて
ここにいるはずの無い君の 声さえ聞こえた気がした

他の誰でもない僕だけが 僕の足を動かすのさ
心の火はまだ 消えちゃいないから
僕らのバトンを ぎゅっと握りしめた



逆転劇の舞台には 僕は立てないかもしれないけど

一等賞のフラッグが 待っていなくなって 走り抜くよ

君がいなくなったって 君がいたってことを 無くさないように